東証1部が東証プライム市場に変わる
東京証券取引所は7月9日、東証1部に上場している企業のうち、約3割の664社が新しい市場区分「プライム市場」の上場基準を満たしていないという一次判定結果を明らかにしました。
東証1部は2022年4月から東証プライム市場に変わる予定です。
東証の4市場を3市場に
現在、東京証券取引所は第1部、第2部、東証マザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)の4つの市場に分かれています。
これが2022年4月から「プライム市場」と「スタンダード市場」、それに「グロース市場」の3市場に集約、再編されます。
市場で何が異なるのかというわかりにくいさ、国際競争力の面などから、すっきりした体系に置き換えられるわけです。
東証上場基準が厳しくなる
東証市場の再編に伴って、市場上場の基準が厳格化される予定になっています。
ひとつには株式全体に占める、市場の流通する株式の量が多いことが求めらます。
これにより、創業者一族が株の大多数を保有したままの会社や、親子上場で親会社が株式の大部分を所有しているような企業は上場が難しくなります。
また、時価総額が低い会社はプライム市場に居られなくなります。
具体的には「時価総額100億円以上」が求められる条件になる予定です。
そのほか、国際基準に沿う経営が求めれたりします。
これをすんなり適用してしまうと、現在市場第一部の企業の3割が条件を満たしていない格好です。
ただし、急に適用すると混乱や株価下落を招くことが必定なので、経過措置期間がもう設けられる予定になっています。
東証再編が一般投資家にどんな影響がある?
東証が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」に再編されることは、一般投資家に影響があります。
ひとつはインデックスが変化する可能性です。
日経平均株価(日経225)やTOPIX東証株価指数は東証第一部の株式を対象に構成されています。
その第一部がプライム市場に変わるのでもちろん影響がでます。
日経225は元々、流動性や安定性などが高い大型株が選定されているのでそれほど影響を受けないでしょう。
いっぽう、TOPIXは第一部市場全銘柄を対象に算出された指数なので、確実に影響があります。
東証からは「TOPIXは一定基準を設けた選定型になる予定」と公表されています。
これまでTOPIXインデックス投信が購入されれば第1部市場全銘柄が購入されていたわけですが、今後はそうなりません。
移行時にはTOPIXに選定されなかった株式は各TOPIXインデックス投信やETFから放出され、株価下落が避けられないでしょう。
10万円以下で買えるような少ない資金で購入できる銘柄を買っている、低位株のバリュー投資を実行している一般投資家は要注意です。
また、選定に漏れた企業の株式は今後、インデックス投信の定額積立などのおかげで業績に関係なく毎月自動的に買われるということがなくなり、株価が上昇しにくくなります。
TOPIX投信を所有している一般投資家はとくに何もする必要ありません。
投信から時価総額が低い、流動性が低い株式が排除されることで、優良な株式だけがインデックスに含まれるようになり、これまでより投信の質がよくなる可能性があります。